梶田峰子さん(西山町在住・1950年生まれ)

                 

 この春、「ギャラリーゆんたく」を自宅敷地内に建てた。「ゆんたく」は沖縄の言葉でおしゃべりのこと。
 高機で織をする彼女は、仲間3人と”手織舎”(ておりや)というグループを作る。工房で仕事に疲れると仲間と『ゆんたくしよぅか』とお茶を囲む。その言葉をギャラリーの名にした。訪れる人にゆっくり「ゆんたく」して欲しい、交流の場になって欲しいと願ってのこと。そして、いつの日か“ゆんたく”は、一流の織りと染めの作家の作品が集まるギャラリーと言われるようになりたいと思っている。
 
  既成概念に捉われないで、感性を最大限に引き出す手織りの手法である「さをり」に出会ったのが15年前。体調を崩し、自分の体が思い通りに動かせないもどかしさを何かにぶつけてみたいと模索していたころのことだ。
 経糸と横糸の組み合わせで自分を表現する楽しさを発見。没頭した。次から次へと織りたいものがひらめく。ひらめくと複数の織機に糸をかけ同時に作品作りをすることもある。雑誌などで一流作家の作品を見て、自分の作品作りに生かしたいと思えば、京都であろうと沖縄であろうと出かけて、見ず知らずの作家に教えを請う。人間国宝である作家を訪ねたこともある。学ぶことには常に貪欲。貪欲でありたいと思う。ひらめきと学びの心がこの人の作品づくりの原点。
 織りたいものを織り、学びたいことを学べる恵まれた環境。気持ちがいいに決まっている。でも、それだけでいいのだろうか。疑念が湧いた。「おこがましいけど、人のために何かを」。それが、ギャラリーづくりのきっかけ。

 
 ゆったりとした時間の流れの中で、おしゃべりしながら楽しくお茶を飲めば、お互いの心は開かれ繋がる。中国まで出かけて取った「茶芸師」の資格を生かして、ギャラリーの一隅で中国茶を出す。
 ギャラリーには自分の生きた証を詰め込みたいと思う。だからといって、「“ギャラリーゆんたく”は、こうあるべき」とは思っていない。オープンの時、「何も決めないことを決めた」。吹く風に吹かれてみようと思っている。風が自分を押してくれたら、この仕事は自分の使命。そう思うことにしている。
  ギャラリーは、もう来年まで予定はいっぱい。ギャラリー以外の催事も、ここを訪ねる人が企画を手伝い、PRをしなくても参加者はすぐ満杯になる。
 「生きた証をギャラリーという形で後世に置いていこうと思っていたのに、今の状態は、みんなからもらうばかり。つき過ぎている。こわいぐらい」。
 人柄がそうさせているのに、それを彼女は気づいていない。 風が彼女の背中を押している。