小川峰夫さん(高森台在住・1959年生まれ)

 「人から教えられることより、自然から学び取ったものの方が間違いがない」
 彫刻家である小川峰夫さんは、時おり、険しい山奥にまで足を踏み入れ渓流釣りを楽しむ。30センチ以上もあるアマゴを釣り上げたこともある。釣り仲間とチームを組んで完全装備で山の中に入り、テントも張らず満天の星空の元で休むときが、小川さんにとって最高に贅沢なひと時。作家としての感性が研ぎ澄まされるのも、そんな時。
 ピュアな心で感じ取ったものを、人生の主軸にしたいと思う。 
 
 ”やんちゃ坊主”で通っていた少年時代、「管理教育の愛知県」では、いつもアウトサイダー的な存在。自分では外れたことをしているつもりなど無いのに、どの先生も自分を分かってくれない。
 「やんちゃ坊主に共鳴できるような教師になりたい」。
 物づくりは本質的に楽しい。ならばと、名古屋造形短大で彫刻を学ぶ。美術教師を目指しての入学だったが、いつしか「作家」に魅力を感じる。そして作家人生を歩むことに。
 しかし、元やんちゃ坊主は子どもが好き。子どもたちに物づくりの楽しさを伝えたくなる。作家活動の傍ら、造形教室「青い空」を主宰。子どもたちからは「村長」の愛称で長く親しまれた。
 夏休みになると、子どもたちの生き生きとした顔が見たくて、教室の子どもたちを山に連れ出した。自然の楽しさ、素晴らしさ、怖さなど、自然があわせ持つすべてを経験させることで、何かを感じ取ってもらいたい。自然を侮らないで、経験に裏付けられた知識や知恵や技を持って接すれば、自然はたくさんの事を教えてくれる。それを子どもたちに伝えたいと思った。

 最近、小川さんは作家活動に専念するため子どものための造形教室を閉めた。
これまで、自然を相手に遊ぶことで多くの真実をも学び取ってきた者として、生業である「彫刻」を通してそれを伝えたいと思う。
 その一方で、自然の中で自然を教師にして、地域の人と共に学びあうのもいいのではないかと、思い始めている。
     



1998年の作品
素材は鉄・木・水・砂・流木・石。
小川ワールドの胸の中に抱かれ、あたかも自然の風景の中にいるように風の音や木立の揺れる音、そして水の流れの音や香りを感じることができる。