山森良子さん(石尾台在住・1938年生まれ)

 「子どもたちはみんな、わたしの仲間。そして、わたしの宝もの」。 
 保育者として、子どもの心をしっかりと正面から見つめ、そして抱きしめ、飛び立とうとする子どもたちを支え続けてきた山森さんの言葉です。
 保育者としてのスタートは、1963年に熱田共同保育所(名古屋市)の創設に関わった時からといいます。愛知での保育運動は伊勢湾台風直後(1959年)、被災地の救援に集まった学生や主婦、研究者から始まったと聞きましたから、山森さんの保育者としての歴史は愛知の保育運動と共にあったと言っても過言ではありません。
 岩倉市立保育園を55歳で定年退職したものの、30年も保育に携わってきた山森さんにとって、子どもたちとの関わりが途切れるということは、存在価値がなくなってしまうようなものでした。 第2の人生を、自分の住む高蔵寺ニュータウン内の「第2そだち保育園」に定め、5年間を過ごしました。
 朝7時半から10時までの早番のパート職員。だからこそ、ゆったりとした気持ちで一人ひとりの子どもと向き合うことができたのだと、言います。「この地域で生かせてもらえているから、自分の心も暖めてもらって生きることができる」。山森さんは心底そう思うのです。
 生協のお店で、ユニーで、「せんせい〜」と呼び止められ、子どもたちの可愛い笑顔にも会えました。
 「園での読み聞かせのこと、しょっちゅう子どもから聞かされていました。以来、絵本が好きになって…小学校に入ってからも本をよく読むようになって…」。お母さんの弾んだ声にも会えました。
時には、立ち話で親から育児の悩みを聞き、「子どもがゴネゴネしてる時は、親の支えが欲しい時。自分の存在を見守っていて欲しいのよ」。そんなアドバイスもできました。
 今は、ボランティアで子ども図書館(サンマルシェ南館)や保育園で読み聞かせをする一方、県内の若い保育仲間との勉強会も続けています。
 もともと児童文学が好きで保育の道に入った山森さんにとって、子どもと絵本は終生手放せないもの。読み聞かせは、できる限りずっと続けたいことの一つ。
 子どもの側の心を、もっともっと伝えたくて、山森さんはたくさんの詩を書きためています。そして、いろんな場面で、おかあさんたちに子どもの心を、たくさんたくさん伝えたいとも思っています。
 育児に悩む若いお母さんたちに、ぜひ紹介したい「宝びと」です。
 山森さんの詩を紹介します。

         おかあさん
    おかあさん
    おかあさん
        何度 呼んでいるんだろう
        おかあさん
        おかあさん
           …………おかあさん
  母よ、あなたは なんと 慕わしい人
  このさけびに 心ふるわせ
  まっすぐに 心を あわせ
  かきいだき 強く だきしめて
  今、とびたとうと している この子は!


(渡辺幹子さんのPCによるイラストです)
せんせい 見て!
せんせい 見て!
いくつもの 瞳が
まっすぐに わたしの中にとびこんでくる

編み上げた 三つ編みの
縄を にぎりしめて
トントン
トッコ トッコ
トタン トタン
おぼつかない 足どり
肩が ギコギコと はずむ

視線は ピタッと 集中させて
つきささって くる
……77、78、79で
胸の中に とびこんで きた

できるように なったことが
こんなに 嬉しい
まっすぐに うなずいて もらえるのが
こんなに 嬉しい
なんていとおしい!
のびやかで ひたむきな
この生命の躍動